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結婚式を組み立てるカギとなるのが
会場の使い方。
もっと、もっと自由にできるベストブライダルアワードのファイナルステージで、佐藤がプレゼンテーションしたのは、ひとつのインターナショナルな結婚式でした。
その結婚式でのいちばんの特徴は、「会場の使い方」。
結婚式の流れも、会場の使い方も、ふつうとは違いました。一般的な流れといえば、挙式の後には、披露宴がスタートします。しかし、そのインターナショナルなおふたりの結婚式では、挙式後に、チャペルのレイアウトを変更し、チャペルでのファーストダンスを可能にしました。それは、通常のウエディングスタイルを覆すものでした。なぜそんな演出にしたのでしょう。
今回のおふたりがずっと大事にされてきたのはダンスでした。
そこで「おふたりの軌跡をたどるダンスパーティ」を式のテーマにし、そのテーマを最大限活かせる演出として、本物のダンスパーティーを結婚式に組み込んだのです。披露宴会場では、椅子とテーブルがセッティングされてしまっているので、ダンスパーティーを行うことはスペース的に難しい。そこで、佐藤は、考えに考え抜いて、チャペルでダンスパーティーを行うことにしたのです。実現させたいことを優先させていたら、通常のウエディングスタイルとは大きく異なる流れになっていました。
「1軒家貸切というゲストハウスウエディングの魅力は、空間全体をどう使うか、どうプロデュースしていくかということ。そこには、まだまだ可能性が無限にあると、再認識させてくれた式でした。ワクワクしながら、担当させていただきました」
当日、新郎新婦さまや親御さま、ご親族の皆さまでの華やかで美しいダンス、幸せを喜び、抱き合う姿は、佐藤の目に焼きついている。“いつも”にとらわれず新しく生み出した空間には、たくさんのLOVEが溢れていました。
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感情移入して聞いて、
見えてくるものがある「仕事をする中で欠かせないものは、感情です。」
佐藤はそう語ります。結婚式の準備で、欠かせない打ち合わせ。結婚式に対する思い、これまでの人生など、打ち合わせで生まれる様々な感情。佐藤はその感情を大切に受け取り、お客さまに寄り添います。
さらに、ただ「聞く」のではなく、感情移入をして相手が意識していないエピソードまで引きだすことを心がけているそう。「お話を聞くことは誰にだってできますが、もし自分がその方の立場だったらどう思うのか、どのようなことを大切にしているのか、結婚式に関係ないことまで、とことん伺って、おふたりを知り、はじめて見えてくるものを大切にしています」
グランプリを受賞した式も、今までのおふたりの軌跡に寄り添い、ヒアリングをする中で、でてきた「ダンス」や「音楽」などのワードから発案したものでした。
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寄り添うとは何か、
はじめて知った日彼女がここまでお客さまに寄り添うきっかけになったのは、ウエディングプロデューサーとしてデビューして4組目のお客さまでした。
そのお客さまは、ご新婦さまがパニック障害をお持ちでした。ご見学の会場案内をしたスタッフからそのことを引き継いだ佐藤は「その話題に触れないようにしよう、触れてしまったら新婦さまがきっと嫌な思いをする。結婚式にまつわる楽しい話題だけを打合せで話そう!」と決めてお付き合いをはじめました。しかし、打合せが始まってから数日経った日。ご新郎さまから1本の電話が入りました。
「佐藤さんは彼女がパニック障害であることを知っているのですか。全く話に触れてこないのですが…」と。
佐藤はそこで自分の間違いに気づいたのです。「喜ぶこと、辛いこと、お客さまの感情を、自分が勝手に決めつけていたことがわかりました」
それからは、相手をとことん考えて、感情移入をできる限りして、どのような状況においても相手の“感情”を汲み取れるように心がけるようになりました。
それ以来、彼女がお客さまとお話しするときに常に意識しているのは“本当に寄り添えているか”ということ。嬉しいことも、辛いことも、すべてを一緒に受け止めて、お客さまの目線で考えることを大切にしています。
「お客さまへ提案していることが単なる自己満足になっていないか、ちゃんとお客さまの求めているものを生みだせているのか、式までの間、常に考え続けるようになりました」
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寄り添えば、
LOVEの連鎖が生まれるそんなお客さまに寄り添う日々が生みだしたのはLOVEの連鎖でした。
佐藤が千葉セントグレースヴィラという姉妹店に勤務していたときのこと。
約3年前に、周りのご友人達が、ほんとうに沢山のお手伝いをしてくれた結婚式がありました。時を経て、赤坂アプローズスクエア迎賓館に異動し、ご見学ご予約通知のメールを受け取ったときメールアドレスを見ただけで「あ! この方知っている!」とピンときたのです。
メールを下さった方は、3年前に担当させていただいた千葉のお客さまの新婦ご友人で、二次会の幹事をされていた方でした。
「熱心にやり取りをしてくださっていた方だったので、期間があいても名前もメールアドレスも覚えていたのです」
一担当者、一列席者の関係だった彼女たちが「担当プロデューサー」「新郎新婦さま」として新たな深い関係を築くことができたのです。そして、そのご結婚式には、もちろん千葉セントグレースヴィラでの花嫁さまだった新婦さまが今度はご列席者として参列してくださいました。結婚式はまさに、人と人とのつながりから新しいつながりが生まれ、またそこから新しいLOVEが生まれる、LOVEはバトンのように受け渡されていくのです。
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寄り添いながら、
“いつものやり方”を超える「これからは、受賞したことを新たなスタートとして、もっともっと素敵なウエディングを創っていきたいという思いを強くしています」と語る佐藤。
いつものやり方、ふつうの結婚式のスタイルに囚われた提案ではなく、おふたりが望むもの、おふたりが築いてきたものに寄り添い、生みだし、新しい空間の使い方を意識したおふたりらしいスタイルのウエディングをたくさん創りだすことが目標です。
それが、佐藤が目指す「たくさんのLOVEを届ける」ことなのです。